運送業の採用はドライバー不足の時代にどう戦うか――未経験から育てる現場の受け入れ方

公開日: 2026年10月30日

運送業の採用は、今やどの会社にとっても切実な課題になっています。仕事の依頼は来る。車もある。でも走らせる人がいない——そういう状況に直面している会社は、決して少なくないはずです。

求人票を出しても応募が来ない。来ても「こんな仕事と思っていなかった」と早期に辞めてしまう。採用にかけたコストと時間が積み重なるほど、現場を率いる社長や採用担当者の疲弊は深まっていきます。

本記事では、運送業の採用が難しい構造的な理由を整理したうえで、未経験者を受け入れるための現場の考え方と、入社前のミスマッチをどう防ぐかについてお伝えします。求人票だけでは届かない情報をどう伝えるかという視点で、一つの選択肢として採用動画の活用もご紹介します。

なぜ運送業の採用はこれほど難しいのか

運送会社のトラックヤードで、ベテランドライバーが未経験の若手に積み荷の確認手順を教えている場面、朝の自然光、ドキュメンタリー風
イメージ:先輩ドライバーが積み荷の固縛方法を丁寧に指導。現場OJTで未経験者を育てる運送会

運送業の人手不足には、業界特有の構造的な事情があります。まず、大型・中型免許が必要な職種では、応募できる母数がそもそも限られます。さらに、拘束時間の長さや不規則な勤務時間に対するイメージが先行し、若い求職者に敬遠されやすい傾向があります。

「仕事はあるのに人がいない」という状況は、認知の問題でもあります。 実態として働きやすい環境を整えている会社でも、それが外に伝わっていなければ選ばれません。求人票の文字情報だけでは、職場の雰囲気や実際の仕事の流れを伝えるには限界があります。

加えて、免許取得支援や教育制度を整えて未経験者を受け入れようとしている会社でも、「入社後の姿が想像できない」という理由で応募をためらう求職者は多くいます。入社前に仕事の現実を見せる手段がないと、会社の努力が届かないまま終わってしまいます。

未経験者を受け入れるために現場ができること

未経験者の採用に二の足を踏む会社の多くは、「教えるコストがかかる」という懸念を持っています。しかしそれ以上に問題になるのは、入社後すぐに辞めてしまうことによる、教育コストの無駄です。

早期離職の主な原因の一つは、「思っていた仕事と違った」というギャップです。仕事の内容、職場の雰囲気、一緒に働く人の人柄——これらは求人票では伝えにくく、入社してはじめて知ることになります。その乖離が大きいほど、定着率は下がります。

現場の受け入れ態勢として有効なのは、入社前の段階でできるだけリアルな情報を渡しておくことです。「どんな人が働いているのか」「1日の流れはどうなっているのか」「きつい場面はどこか」——こうした情報を包み隠さず見せることが、入社後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐ土台になります。

「きつさを見せたら来なくなる」という不安について

現場の仕事のリアルを見せることに、ためらいを感じる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。「きつさを正直に見せたら、もっと応募が減るのではないか」という心配です。

ただ、視点を変えると見え方が変わります。きつさを知ったうえで「それでも働きたい」と思って入社した人は、想定外のきつさに直面しても辞めにくいものです。逆に、きれいな面だけを見て入社した人が早期に辞めると、採用コストはまるごと損失になります。来てほしい人だけが応募してくる状態をつくることが、長期的には効率のよい採用につながります。

求人票で伝わらない「仕事のリアル」をどう見せるか

【福岡 採用動画】求人応募につながる社員インタビュー動画|平川燃料様 クロストーク制作実績

運送業の仕事は、文章で説明しようとすると「ドライバー業務全般」「配送ルートに沿って荷物を届ける」といった言葉に収まってしまいがちです。しかし実際の現場には、荷物の積み下ろしの手順、先輩との関係性、休憩のとり方、帰庫後の点検作業など、文字にすると地味でも、映像にするとリアルに伝わる情報が大量にあります。

社員インタビューを中心に構成した採用動画は、求職者からの反応がよいという現場の声があります。「職場の雰囲気」「どんな人と働くのか」が伝わることで、応募者の解像度が上がり、入社後のギャップが減ります。撮影も半日程度で完了するケースがあり、現場への負荷も限定的です。

採用動画を活用する際の形式は、大きく二つあります。

形式尺・媒体主な活用場面
ショート動画30〜60秒・縦型(TikTok / Instagram)SNSでの若年層への認知拡大
本編動画10〜15分・横型(YouTube)求人ページや採用サイトへの掲載

ショートは若い求職者に仕事の存在を知ってもらう入口として機能し、本編は応募を検討している人が「この会社で働く姿」を具体的にイメージするための素材になります。両方を組み合わせることで、認知から応募までの流れをつなぎやすくなります。

採用動画を作るときに運送業で撮るべき場面

運送業の採用動画で特に有効な場面は、以下のようなものです。文字では伝わりにくく、映像にするとリアリティが出る場面を意識して選ぶことがポイントです。

  1. 出庫前の点検作業
    ドライバーが毎朝行う車両点検の様子。「丁寧な仕事ぶり」と「会社の安全管理への姿勢」が伝わります。
  1. 積み込みや荷捌きの場面
    実際の身体的な負荷感が伝わります。「思ってたよりきつかった」を入社前に防げます。
  1. ベテランが未経験者に教える場面
    職場の人間関係と教育体制が自然な形で映ります。「サポートがある環境かどうか」は求職者が気にするポイントです。
  1. 帰庫後の雑談・休憩の場面
    職場の空気感が伝わります。仕事の厳しさだけでなく、人としての関係性が見えると安心感につながります。
  1. 未経験者の正直なコメント(社員インタビュー)
    「入社前に不安だったこと」「実際に働いてみてどうだったか」を語ってもらうことで、求職者は自分と重ねて見ることができます。

きれいに演出しすぎず、現場のそのままの姿を撮ることが、見ている人の信頼につながります。

採用動画の制作を依頼するときに確認しておくこと

採用動画の制作を外部に依頼する場合、いくつか確認しておきたい実務上のポイントがあります。

一つは、出演する社員が退職した場合の扱いです。社員を出演させた動画は、その社員が辞めたあとも使い続けることへの心理的なハードルが生じることがあります。この場合、モデルを社員役として起用する方法があります。モデルを使えば長期にわたって動画を活用しやすくなります。

もう一つは、制作会社の実態の確認です。ホームページでは法人に見えても、実態は一人で運営しているケースがあります。ドタキャン・品質・レスポンスの問題が起きてから依頼し直しになるよりも、事前に会社の規模や体制を確認しておくことが安心です。

納期については、依頼内容や予算にもよりますが、最短で依頼から納品まで1週間というケースもあります。急ぎの採用シーズンに対応できるかどうかも、依頼前に確認しておくとよいでしょう。

費用の目安としては、制作30万円〜、継続運用は月10万円〜が一つの参考になります。予算感を伝えたうえで相談することで、自社の規模に合ったプランを検討しやすくなります。

まとめ

よくある質問

運送業の採用動画には、どんな場面を撮ればいいですか?

出庫前の点検作業、積み込みや荷捌きの様子、ベテランが未経験者に教える場面、帰庫後の休憩・雑談の場面、そして社員の正直なインタビューが有効です。文章では伝わりにくい「職場の空気感」や「仕事の実際の負荷感」を映像で見せることが、入社後のギャップ防止につながります。きれいに演出しすぎず、現場のそのままの姿を撮ることが信頼感につながります。

出演した社員が退職したら、動画は使えなくなりますか?

社員が退職した場合、その動画を使い続けることへのためらいが生じるケースがあります。そのような場合は、モデルを社員役として起用する方法があります。モデルを使った動画は、特定の社員に依存しないため長期間にわたって活用しやすくなります。制作依頼の際に、出演者の方針についても事前に相談しておくとよいでしょう。

採用動画の制作費用はどのくらいかかりますか?

費用の目安として、制作30万円〜、継続運用は月10万円〜が一つの参考になります。内容や撮影日数、使用する媒体によって変わるため、予算感を伝えたうえで相談することで、自社の状況に合った内容を検討しやすくなります。

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