採用活動がうまく進んでいるように見えても、内定を出した後に辞退されてしまう。そのような経験を持つ企業の担当者は少なくありません。求人動画や会社紹介動画に力を入れている企業でも、「なぜ辞退されたのか」の原因がつかめないまま、次の採用サイクルへ進んでしまうケースがあります。
内定辞退が起きる背景のひとつに、「会社のことをよく知らないまま選考が進んだ」という状況があります。面接で初めて職場の雰囲気を見る、入社してから実際の仕事内容を知る——そのギャップが、辞退や早期離職につながっていきます。採用動画は、このギャップを面接前に埋めるための情報設計として機能します。
本記事では、採用動画がどのような情報を、どの順番で求職者に届けるべきかという「情報設計」の考え方を整理します。福岡を拠点に採用・求人動画を手がけるスタジオナナの現場から得た知見をもとに書いています。
なぜ「会う前に知っている会社」が内定辞退を減らすのか
求職者は複数社の選考を同時に進めることが一般的です。その中で、「なんとなく社風がわかる会社」と「情報が少ない会社」があれば、心理的な距離はどちらが縮まるか。答えは明らかです。
採用動画を事前に見た求職者は、面接当日にすでに「職場の雰囲気」「働いている人の人柄」「実際の仕事の様子」をある程度把握しています。面接はその確認の場になるため、会話が深まりやすく、相互理解が早まります。
逆に、会社の情報が求人票だけという状況では、求職者は面接という限られた時間で会社を判断するしかありません。 情報の少なさは不安につながり、不安は内定辞退の遠因になります。採用動画が担うのは、その情報の空白を埋めることです。
ミスマッチを減らす情報設計の3つの軸
採用動画が「会う前に知っている会社」を実現するためには、何を見せるかの設計が重要です。現場の経験から、以下の3点が特に効いています。
- 職場のリアルな雰囲気を見せる
「こんな仕事と聞いていなかった」という早期離職の声は、入社前のイメージと現実のずれから生まれます。実際の作業環境や一日の流れを動画で見せることで、入社後のギャップを事前に小さくできます。
- 働いている人の言葉を届ける
職場の雰囲気は、そこで働く人の表情や話し方から伝わります。社員インタビューを中心にした構成は、求職者の反応が良いという現場の手応えがあります。実際に社員インタビュー主体で構成した採用動画の撮影では、求職者向けに反応が良く、撮影自体も半日で完了したケースがあります。
- 会社の姿勢や誠実さを映像で示す
挨拶や責任感が感じられる企業には、応募につながりやすいという傾向があります。動画の中で社員や経営者がどのように話すか、職場がどのように映るか——それ自体が会社のブランドを語ります。
採用動画の「見え方」は企業ブランドに直結する
採用動画を作ること自体は正しい方向です。ただし、映像の質が低いと逆効果になる場合があります。
インタビューが棒読みで「言わされている感」が出てしまうと、求職者は違和感を覚えます。画質が悪い、顔色が悪く見えるといった映像的な問題も、「しっかりしていない会社」という印象を与えかねません。
「きちんと映像にお金をかけている」という事実そのものが、企業のブランドになります。 採用動画は求職者にとって、その会社を判断するための材料のひとつです。映像の完成度は、会社の姿勢として読み取られることを意識する必要があります。
社員が退職した後も使い続けられる設計という視点
採用動画を制作する際に、多くの企業担当者が気にしていることがあります。それは「出演した社員が辞めてしまったら、動画が使えなくなるのではないか」という不安です。
これは実際に現場でよく聞かれる懸念です。対応策のひとつが、モデルを社員役として起用するという方法です。プロのモデルが出演することで、退職リスクに左右されず長く使い続けられる動画になります。
情報設計の段階から「誰が出演するか」を戦略的に考えることが、採用動画の長期活用につながります。
実例:社員インタビュー中心の採用動画
上の動画は、社員インタビューを軸に構成した採用動画の制作実績です。求職者が「どんな人が働いているのか」「職場の雰囲気はどうか」を知りたいという検索意図に応える構成になっています。
撮影は少人数・軽量機材で行うため、従業員の業務を長時間止めることなく進められます。「もう終わりですか?」と驚かれることもあるほど、現場への負担が少ない撮影体制です。それでいて、プロとしての画角や動きの設計によって、素人撮影では出せないクオリティの映像になります。